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走れ!銀座まで! BD-1で自転車通勤

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22年間ありがとう

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今年3月6日に撮影

1989年、一匹のオスの子猫が埼玉から神奈川に住む男のもと来ることになった。
男は都内のデザイン学校に通う学生で、
どうやら同級生の女の子から「子猫が産まれたけどもらってくれる人がいない」と相談され、
やす請け合いしてもらってきたようだ。
そして子猫は、学校の課題とバイトに明け暮れていた男の汚い部屋で飼い始められた。




そのオス猫はまっ白い毛に黒いブチがあり、牛に似ていることから「モーモー」と名付けられた。
まだ母猫が恋しいその子猫は、ぬくもりを求めて毎晩男の胸の上で眠った。
そして、腹が減れば泣き、遊びたくなれば何時でも男の顔をなめた。

しばらく男は家族に分からないように自室で子猫を飼ったが、家族がその可愛らしい生き物の存在に気づくのは時間の問題だった。子猫は家族に温かく迎えられ育てられた。

しばらくすると男はデザインの学校を卒業して東京で働くことになった。
毎日帰ってくるのは午前様だったけど、男が帰れば庭のどこからともなく現れ「ニャー」と泣いた。

やがて男は結婚して、東京に行ってしまったが、男の妹弟・父母がオス猫の面倒を見た。

オス猫は大人になり、近所の猫と戦って縄張りを持った。
そして白いメス猫と子供を何匹かもうけ家族を作った。

しかし、近所の猫との諍いが絶えることなく連日続き、やがてどこかに居なくなってしまった。その後何年も。
家族は、けんかの末、怪我を負って死んでしまったんだと思い探すことはしなかった。

妹は結婚して北海道に嫁いだ。
そして何年か経ち出産のために帰省した時に
家から数キロも離れた場所で見慣れた猫を発見した。「モーモー」だ。

その頃、ちょうどコンピュータ会社で働くようになった男の弟が
上司との関係がうまくいかなくなり会社を辞めてしまい、家に帰らず、放浪の車上生活を始めた。

家族は死んだと思っていたオス猫の帰還に喜んだ。
弟は放浪を辞め、付き合っていた女性と少し離れた場所で暮らし始めやがて結婚した。

兄弟にそれぞれ子供ができ、平塚に集まる機会があれば子供たちはオス猫「モーモー」に親しんだ。
子供たちが大きくなるにつれ、オス猫は老いていったが。。。

近年、オス猫は外に出て縄張りを争うこともなく、家の中で一日を過ごすことがほとんどになった。
歯が全部抜け落ち、毛につやが無くなり、体が骨ばっていった。
でも1年に数度しか合わないことがあっても、オス猫は男の顔を忘れることはなかった。
会えば、必ず体を寄せてきた。

しかし、オス猫は老いには勝てなかったようだ。
最近は食事を摂れなくなるほど体が弱っていたようで
昨夜、とうとうトイレに立ちあがることもできず、寝床に倒れこみ、
そのまま静かに眠ってしまったそうだ。

22年間家族に笑顔をくれてありがとう「モーモー」。おやすみ。
by bicycle_commuter | 2011-05-16 23:56
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写真で綴る恵比寿ー銀座の自転車通勤。 週末はロードバイクでツーリングも。


by bicycle_commuter
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